講座案内

成人講座 名木百選観察ウォークが開催されました

名木百選観察ウォーク

 

 習志野市は平成14年11月、市民の皆さんより推薦された75本の樹木を習志野名木百選として指定しました。現在、倒木や枯死により4本が指定解除になり、名木は71本になっています。

 そこで当館では、習志野の名木に登録された樹木を観察することにより地域の関心と理解を深めていただこうと名木百選観察ウォークを企画しました。

 そこで名木の選定を樹木や植物に詳しい、樹の生命を守る会の元理事長で樹木医の中村 元英 先生にお願いし、3つの巡回コースを決めていただき実施しました。

 6月2日の1日目は、実花小のシンボルツリーになっているクスノキ(No.72)を皮切りに、第四中学校周辺の松並木のクロマツ(No.71・70)、総合教育センター前のアケボノスギ(No.69)、東習志野小学校のアケボノスギ(No.68)(アケボノスギは和名で別名メタセコイヤといわれ、日本では第三紀の化石として知られている樹木)、東習志野こども園の山野に自生するヤマザクラ(No.67)、実籾県営住宅地の強い香りの大形の白い花が咲くタイサンボク(No.66)、習志野高校の3本が束生の葉で30cmにも達するダイオウマツ(No.65)を見て東習志野~実籾周辺コースを巡りました。

 実花小から第四中学校へ向かう途中、ハミングロードの桜並木に実を発見。

ハミングロードの桜並木愛宕橋付近

真っ黒な実がたくさん

 中村先生が、桜の子だから桜ん坊というんだよ。食べられますよと話すと受講者は皆ついばみ始め、あまりおいしくないねと一言。中村先生曰く、ソメイヨシノは観賞用の桜なので、果樹の美桜のさくらんぼにはかなわないとのこと。

 第四中学校周辺の素晴らしいクロマツ並木では、このようにきれいに保存されているのは、マツクイムシ(マツノマダラカミキリ.)対策としてクロマツ一本一本に薬剤が注入されているとのこと。受講者からは、こうやって大切に守られてきたんだ。樹(木)を守るのも大変ななんだと実感する声が聞かれた。

No.70 クロマツ並木

 

 2日目の6月16日は、実籾駅からスタート。実籾本郷公園の美松のタギョウショウ(No.49)、初春に淡紅色の小輪一重の花が咲くトウカイザクラ(No.48)を見て、大原神社に移動。大原神社では、アカガシとクロマツが根元から組んでいる樹(No.62)が境内の中央に空高く伸びている。奥には、夫婦タブノキ(No.61)も見られた。

 次に習志野偕生園脇のアケボノスギ(No.58 別名 メタセコイア)を見る。

 中村先生曰く、生きた化石といわれる古くからある木。1日目も総合教育センター前や東習志野小学校内にも見られた。2,000年前の木の化石から、中国、アメリカ、日本の研究者の手を経て日本に移植されたと知り、とても面白いと感心する受講者が多かった。

次に新栄1丁目の児童遊園のソメイヨシノ(No.57)を見る。地元のシンボルツリーとのこと。

No.58アケボノスギ(メタセコイア)

 次に大久保4丁目アパート敷地のカヤ(No.55)を見る。市内にカヤはめずらしく、大きい。カヤの実は食用となり、カヤ材は堅くて碁盤などに利用される。

 最後に誉田八幡神社の高木で古くからある3本のアカガシ(No.52・53・54)を見て、2日目の実籾本郷~大久保周辺コースを終えた。

No.55市内ではめずらしいカヤ

 

 

 3日目の6月30日は、市役所から スタート。旧市役所跡地のスダジイ(No.24)から、旧市教育委員会跡地のクスノキ(No.22)を見る。中村先生曰く、クスノキの大きさは市内では横綱級。しかし、1日目の実花小学校のクスノキと違って地面がコンクリートで覆われていたので根が苦しくなって衰弱しているとのこと。天辺の方に枝枯れが見られた。

 菊田水鳥公園に移動。姿や形がきれいなシダレヤナギ(No.20)や地域のシンボルになっているソメイヨシノ(No.21)を見る。

 次に子安神社に向かう。神社入り口前のタブノキ(No.37)が悠然と我々を見下ろしながら出迎えた。かなりの巨木である。中村先生がおもむろにメジャーを取り出し幹回りを計測する。

No.37タブノキ 別名イヌグス

タブノキを計測中

 幹回りは地上から1m20cmの高さのところを計測。平成14年にも計測しており、その頃より約50cm太くなったとのこと。1年で2.6cmほど成長したことになる。子安神社には他の名木のイチョウ(No.31)、スダジイ(No.34)、ムクノキ(No.36)があり、皆大木である。土が肥えていて根が思い存分に這っているので皆元気である。

 

 次に正福寺のイチョウ(No.30 大イチョウ)に回る。中村先生曰く、このイチョウは樹齢400年と推定され、平成の初めころ樹勢の衰えや枝枯れが目立つようになり、主根の腐朽、幹の腐食の広がり等が進み危険な状態であると診断され、平成4年に外科手術を行ったそうである。その蘇生外科治療の甲斐あって徐々に回復し、色艶のよい葉をつけるようになったとのこと。受講者から、樹にも外科手術があるんだと驚きの声が上がった。

No.30イチョウ(大イチョウ)

 

 次に東漸寺に向かい、乳根(枝から下がる根のような部分)をもつイチョウ(No.17)や推定樹齢100年のクロマツ(No.18)を見る。

 最後に菊田公園のシンボルツリーであるイチョウ(No.19)を見て、3日目の鷺沼~津田沼周辺コースを終えた。

  3日にわたり中村先生には、それぞれの名木について、いわれや木の特徴などを詳しくお話していただいた。また、名木から名木までの移動中に見える樹木や園芸品種につても、樹木の名前や葉の特徴、名前のいわれなどを詳しくお話になり、受講者はみな興味深く聞き入っていた。

 

 受講者は、中村先生の話をよく聞き樹木や垣根、花などの特徴を目で知り、手で触れ、匂いを感じ、時には味を確かめ、五感をフルに働かせて、自然を大いに満喫していた。名木を通して地域の歴史を知り、地域への関心が高められた。

 3日目の最後に受講者から、先生のお話がとてもよかった。この講座の回数を増やしてほしい。また、コースを変えて、ぜひやってほしいという声が聞かれた。

 来年度もこの企画を通して、参加者の皆さんと習志野の新たな魅力が発見できたら最高です。

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開館時間:09:00〜21:00休館日:月曜日

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